園長だより

園長だより2016年11月

「三つ子の魂百まで」ということわざがあります。

乳幼児期の子育ての環境は、身体だけでなく心や脳の成長に対し大きな影響を与えることは言うまでもありません。子どもの記憶にのこらないことでも、おとなになる土台はしっかりとインプットされています。たくさんの愛情を受けて育った子どもは、安心感を持って人と接し、人を信頼することができるでしょう。

穏やかな環境で育った子どもは、穏やかな環境を作る人に育つでしょう。最近では、核家族化によって子育てにかかわる人数が少なくなりました。子どもが育つ過程で、子どもに寄り添う家族、保育のあり方も問われています。

子どもが「ねえ、ねえ、あのね。」と問いかけた時、その言葉にどう答えているでしょうか。まだ言葉にならない眼差しに、微笑みかけ、手を差し出しているでしょうか。
子どもの声を聴くことは、分かっているけれど、おとなの都合を優先してしまうことが多いものです。難しい課題です。

園の見学に来られた方が、2歳児が給食を食べている姿を見て、驚かれていました。
20人の子どもたちは、手を洗い、エプロンをして席につきます。全員で感謝のお祈りをしていただきます。園では当然のことですが、それぞれの家庭ではなかなかお母さんの思うようには食事ができないようです。子どもたちは、小さな社会の中でお互いに刺激し学び合いながら育っていきます。

子どもの心にそっと寄り添い、その声を聴くこと。それは子育てをする家庭だけでなく、おとな自身が心の余裕が持てるような社会を築いていくことが課題ではないでしょうか。         

金田みどり